■エンジンの異音
自動車のエンジンをかけた時や運転中にエンジンから異音が
聞こえてくるとイヤな予感しかしません。
ボンネットを開けてエンジンルームをのぞき込んで見たところで、
自動車に詳しくなければ何が原因なのかはさっぱりわかりません。
エンジンの異音を放っておいたままでは、重大なトラブルに
発展しかねませんでの、エンジンから異音がした場合の症状から
原因と対処法を見ていきたいと思います。
■ガラガラと金属異音がする場合
エンジンをかけた時にガラガラとという金属音が聞こえる場合には、
タイミングチェーンが原因だと思われます。
タイミングベルトと同じ役割を果たす部品で、ゴム製品である
タイミングベルトが走行距離約10万kmで交換が必要なのに対して、
タイミングチェーンは交換が必要ありません。
逆に金属製であるが故に、エンジンオイルによる潤滑が非常に
重要になります。
エンジンオイルが劣化したり減少したりすることで、タイミング
チェーンと金属の歯車との摩擦が大きくなることで異音が発生する
ことになるのです。
エンジンオイルのメンテナンスを適性に行うことで異音の発生を防ぐ
ことができ、さらにエンジンの暖機時間を取るとより効果的と
言えます。
また運転中にガラガラという異音がする場合にはカムという部品が
原因と考えられます。
エンジンのバルブを開閉させる部品で、長期の仕様による摩耗や
エンジンオイルによる緩衝不足によって異音が発生します。
タイミングチェーンの時と同様エンジンオイルのメンテナンスが
重要であり、オイル添加剤の仕様も効果的です。
また費用はかかりますが、エンジンヘッドのオーバーホールを
行えば確実にカムが原因で発生している異音は解消することが
出来ます。
■キュルキュルとベルト鳴きの場合
エンジンからキュルキュルといういわゆるベルト鳴きがする場合には、
VベルトやVリブドベルト(俗に言うファンベルト)が原因だと
思われます。
オルタネーターなどの各補機類の駆動させるためにエンジンと
繋がっているゴム製の部品です。
摩擦による摩耗や発熱、経年によって硬化することでベルト鳴きが
発生し、またゴムの硬化によって張力が低下したり、張力の調整が
適性に行われていない場合にも発生することがあります。
さらにベルトがかかっている金属製のプーリー部分にサビが
付いている時にもベルト鳴きは起こります。
ゴムの劣化が進み切れた場合には各補機が正常に作動しなくなり、
エアコンやパワーステアリングがきかなくなるだけでなく、ウォーター
ポンプが止まることで冷却水が滞りオーバーヒートを起こしたり、
オルタネーターが止まることでエンジンの停止やバッテリー上がり
などを起こしたりもします。
対処の方法としては、まずベルトの張力調整を行うことで、ベルトの
緩みが原因によるベルト鳴きは止めることが出来ます。
車種によっては自分で簡単に張力調整が出来るものもありますが、
一般的にはベルトの適正な張り具合を知っておかなければならず、
工具も専門的なものが必要となることもあるので整備工場で
調整してもらう方が良いと思われます。
ベルトが硬化している場合には張力の調整を行っても音が
止まらないこともあり、ベルトの交換が一番効果的と思われます。
金属部のサビが原因の場合には、専用のベルト鳴き防止剤や
シリコングリスをベルトに塗ることで止めることができます。
ただし、専用のベルト鳴き防止剤以外の油脂を使うとベルトの
傷みや緩みを引き起こしますので注意してください。
さらにかつては、エンジンをかけたままベルトに紙やすりをかける
のが有効な方法と言われていましたが、指をベルトに巻き込まれる
重大な事故が発生していますのでやすりがけはせず、ベルト鳴き
防止剤などを塗る場合にもエンジンは必ず切っておくようにしましょう。
■それ以外の異音
エンジンから異音がする場合の多くは先に書いた2つのパターンの
いずれかがほとんどです。
それ以外には、アクセルを踏んだ時にノッキングで発生する
ガリガリ音や燃料噴射装置であるインジェクターの故障による
カチカチ音、補機類のベアリング損傷によるモーター音のような
ウィーン音などがあります。
ノッキングの場合には自動車に適正なガソリン(ハイオク・
レギュラー)を使用したり積載重量を減らすことで対処出来ますが、
インジェクターやベアリングによって異音が発生している場合には、
自分で対処することは難しくなっています。
■異音がした時は
エンジンルームから異音がしている場合はどこかに異常が
発生している証拠であり、放っておいて直るものではありません。
また車検や定期点検ではこのような異常までチェックされることは
少なく、異常を発見するためのエンジンの点検は別料金が掛かる
ことが多いようです。
しかし自動車の故障により事故を起こした場合には、自分だけでなく
他人も巻き込むことになります。
エンジンの異常は自分で発見することは出来ても対処することは
難しいので、少しでも異常を感じた場合には整備工場で早めに
点検を受けるようにしましょう。