■付いてて当然？
一昔前までは自動車の窓と言えばドアの内側に付いている
ハンドルを回して開閉しており、パワーウィンドウが付いていたのは
ほんの一部の高級車だけでした。
現在では一部の法人向け車両や商用車を除いて、軽自動車に至る
までほとんどの自動車にパワーウィンドウが標準装備されており、
エアコン・パワーステアリングと並んで必需装備となっています。
運転席や各座席のドア、センターコンソールなどに付いている
スイッチで窓の開閉ができ、運転席やセンターコンソールには
全ての窓のスイッチが付いており、ハンドルを回して窓を開閉して
いたことが信じられないくらい便利なものです。
■故障してしまったら・・・
便利な反面、電子制御されている部分だけに故障してしまうと
一切反応しなくなって、窓を開けることも閉めることも出来なくなって
しまいます。
こうなると人間は勝手なもので、「故障したら開閉出来なくなるなら
ハンドルの方が・・・」なんて思ったりしてしまいます。
窓が閉まったままで開かないのはともかくとして、窓が開いたまま
閉まらなくなった場合は軽いパニックに陥ってしまいます。
私事ですが、以前乗っていた自動車で高速道路を走っていた際に
料金所で窓を全開にして料金を支払い（当時はまだＥＴＣを
搭載している自動車の方が少なかった）、そのまましばらく走って
窓を閉めようとスイッチを上げましたが窓はウンともスンとも
言いませんでした。
高速道路を走行中に焦りながら何度もパワーウィンドウのスイッチを
操作するも窓は１ｍｍも閉まらず、真冬の高速道路をしばらく
窓全開で走るハメになりました。
１０分ほどしてから再びスイッチを操作してみると「ウィ～ン」と少し
鈍い動作ながらも窓が閉まり、ホッとしたのと嬉しいのとが
入り交じった何とも言えない感情が沸き上がったことを覚えています。
その数日後、当時喫煙者だった私は換気のために窓を１０ｃｍ程
開けて走っていたところ、また窓が閉まらなくなってしまい、今度は
しばらく待とうが何をしようが閉まらなくなったので、そのまま
ディーラーに駆け込みました。
しかし当時乗っていた自動車は日本では製造中止となっており、
部品の取り寄せに２週間ほど掛かると言われてしまい、部品が
届くまでの間、盗難と雨の吹き込みを防ぐために、恥ずかしながら
窓の隙間にフィルムを貼り付けて走っていました。
私事が長くなってしまいましたが、パワーウィンドウが作動しなくなる
原因としてはスイッチ・モーター・レギュレーターのいずれかの
不具合だと考えられます。
スイッチの場合はスイッチ内部の部品が破損していたり、その
破損した部品が詰まったりしてスイッチの接点不良を引き起こします。
この場合の修理費用は、スイッチパネルの交換だけであれば
５，０００円程度で済みます。
モーターの場合はモーター自身の摩耗や劣化ということも
考えられますが、レギュレーターの劣化によってモーターに余計な
負荷が掛かっていることもしばしばあります。
パワーウィンドウはそれほど頻繁に使用することはないので
モーターそのものが劣化したり故障したりすることはそれほど
ありませんが、交換となると３０，０００円前後掛かります。
レギュレーターにはアーム（パンタグラフ）式とワイヤー式があり、
これらが摩耗・劣化することで作動しなくなります。
アーム式の場合は開閉時に異音がしたり、ガラスが斜めになったり
という予兆があります。
ワイヤー式でも同様の予兆がある場合もありますが、突然
ワイヤーが切れてガラスが落ちてしまうことがあります。
レギュレーターの交換費用は、アーム式・ワイヤー式いずれも
１５，０００円程度です。
ちなみに私の場合は、ワイヤー式のモーターが劣化したことが
原因でしたが、ディーラーの人も首を傾げるほど珍しいことだった
ようです。
■動かなくなってしまったら
パワーウィンドウが作動しなくなった時には、スイッチを何度も上下
しないようにしてください。
それによってスイッチが原因でなかったにも関わらず、交換が
必要になってしまうことがあります。
まずは落ち着いてチャイルドロックがかかっていないかどうかを
確認しましょう。
以前私の友人が後部座席のドアが開かないと大慌てでディーラーに
駆け込んだところ、チャイルドロックがかかっていただけだったことが
ありました。
もし窓が開いたまま閉まらなくなってしまった場合には、応急処置
としてガラスを両側から持ち上げてガムテープで固定して
おきましょう。
これはあくまでも応急処置であり、窓の開閉に不具合がある
場合にはすぐにディーラー等に相談してください。
パワーウィンドウの不具合を予防する方法としては、スイッチの
接点が焼き付きを起こしてしまうのでスイッチの連打をしないこと、
そしてモーターに必要以上の負荷を掛けないためにガラスが上下
いずれかに動いている最中に逆方向のスイッチを押さないことです。
もう一つ大事なことは、ガラスが汚れているとそれが抵抗となって
モーターやレギュレーターの負担が増すので、常にガラスをキレイな
状態に保っておきましょう。
そうすれば真冬に窓全開で高速道路を走るという悪夢のような
ことは起こりません！