■庶民の憧れ
ベンツとBMW・・・いずれもドイツだけでなく世界を代表する
自動車のブランドであり、日本では一種のステータスとなっており、
多くの人が一度は乗ってみたいと思っている自動車と言えます。
自動車に詳しくない人にとっては両方ともドイツのメーカーが
作っている高級車というイメージしかないかもしれませんが、その
来し方には大きな違いがあり、それが自動車に対するメーカーの
考え方にも反映されているのです。
また自動車のオーナーもそれぞれにこだわりを持っており、
高級車なら何でも良いというわけではないようです。
■メルセデス・ベンツとは
その歴史は、1883年ドイツの技術者であったカール・ベンツが
設立したベンツ&シー・ライニッシェ・ガスモトーレン・ファブリーク
(ベンツ&シー)と1890年に内燃機関の技術者であるゴットリープ・
ダイムラーとヴィルヘルム・マイバッハが設立したダイムラー・
モトーレン・ゲゼルシャフト(DMG)が1926年に合併したことにより
始まります。
ベンツ&シー社は世界最古の自動車メーカーの一つであり、
1886年に世界で最初の自動車を作って「ガソリンを動力とする
車両」に関する特許を取っており、約130年に及ぶ自動車の歴史は
ベンツから始まったのです。
この自動車のパイオニアとしての精神は後々まで受け継がれており、
数々の今では当たり前の物を世界で初めて世に送り出しています。
1980年、高グレード車にエアバッグをオプションとして装備し始め、
次第に標準装備となり、エアバッグが普及するきっかけとなりました。
ちなみに現在使用されているエアバッグは1963年に日本人が
発明し(それより以前にアメリカ人技術者によってエアバッグは
発明されていたが、現在のものとは構造が違う)、1970年代には
アメリカで実用化されています。
ABSについても、1978年にメルセデス・ベンツ社から
ABS搭載車が発売されたことがきっかけとなり広く普及するように
なりました。(それ以前に日本の高速バスやアメリカの
レーシングカーなどに搭載されていました。)
それ以外にも、ジグザグ型のATシフトレバーや衝撃吸収三叉式
構造ボディなど自動車の安全性向上に大きく貢献しています。
また停車時に140kmで走っている自動車に追突されても運転手は
キズ一つ負わなかったという信じられないような事例があり、
メルセデスベンツの安全性の高さを証明しています。
さらに世界一の誉れ高いシートやエアサスペンションによって
もたらされる乗り心地の良さは「快適」そのものであると言えます。
もしユーザーが改造をした場合にはメーカー保証が受けられなく
なるということから、手を加える必要のない完璧な自動車を作って
いるという誇りと自信が覗えます。
■BMWとは
1916年にグスタフ・オットーによって設立されたバイエリッシュ・
フルークツォイル・ヴェルケ株式会社という航空機のエンジン
メーカーが前身であり、第二次世界大戦後に本格的に四輪車の
製造を開始します。
元々が航空機のエンジンメーカーだけあってエンジンには強い
こだわりと高い技術力があり、バルブトロニックシステムの開発や
エンジンブロックにマグネシウム合金を使用して軽量化を図るなど
エンジンに関しては他の追随を許さないものがあります。
エンジンの軽量化によって車体の重量が前後でほぼ同じになり、
滑らかな加速に加えて、舞うような回頭性やカーブした後の
立ち上がりの良さを実現しました。
BMWはキャッピコピーである「駆けぬける歓び」そのままに単なる
移動手段としてではなく、運転することを楽しいものへと変えて
くれるのです。
また改造を許さないメルセデスベンツとは逆で、更なる快楽を求めて
自分色に染めるために改造することを容認しています。
純正品にも多数のパーツが用意されていて、多くのユーザーが
「自分だけのBMW」を作り上げており、大人の遊び道具という
楽しみも提供してくれています。
■乗り手を選ぶ?
ベンツに乗る人とBMWに乗る人には大きな違いがあるようです。
メルセデスベンツはフルラインナップブランドと言われるほどあらゆる
車種が取り揃えられており、ユーザーのニーズやライフスタイルに
あった自動車を見つけることが出来ます。
またベンツに乗っていてもメルセデスベンツというブランドに対して
強いこだわりを持っている人は少ないようです。
BMWは先に書いたように、運転を楽しむことを追求しているため
自動車を移動手段として考えている人にはあまり向いておらず、
ある意味で乗る人を選ぶ自動車と言えるかもしれません。
ベンツのユーザーとは違って、BMWに乗る人はBMWという
ブランドに強いこだわりを持っている場合が多く、BMWを求めて
来店した人にセールスマンが他のメーカーの自動車を勧めても
あまり興味を示さないそうです。
色々と書いてはきたものの、いずれも素晴らしい自動車であることに
違いはありません。
しかし同時に決して誰もが気軽に買える値段ではないことも
事実です。
各ディーラーでは試乗車なども用意されているようなので、
購入の際には一度乗ってから決めてみてはいかがでしょうか。