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ミッションが故障した軽自動車は、費用的には修理より買い替え?

■主流となったオートマチック車
かつて自動車と言えばギアチェンジにクラッチ操作が必要な
ミッション(MT)車がほとんどでしたが、最近ではオートマチック
ミッション(AT)車が主流となっています。

市場に出回っている自動車の9割以上がAT車であり、普通自動車
はもちろん自動二輪車や普通自動車二種にもAT限定免許が存在
しています。

クラッチ操作や頻繁なギアチェンジが無い分MTよりATの方が
運転しやすい反面、MTに比べてATの構造は複雑であり故障した
場合には一式交換となってしまうことも多いようです。

一式交換となれば、軽自動車でも30万円以上、輸入車などに
なると100万円以上掛かることもあり、かなり高額な費用となります。

そこで日頃のメンテナンスが重要になってくるのですが、エンジン
オイルの交換時期は気にしていてもオートマチックフルード(ATF)の
交換は意識していないのではないでしょうか。

このATFの劣化が進むと燃費の低下や加速の悪化、変速時の
ショックが大きくなるといったことが起こり、最悪の場合には変速
しなくなってしまったりエンジンが停止することもあります。

そうならないためにもATFの定期的な点検や交換が必要と
なるのです。

■ATFって
ではATFは自動車を動かす上でどのような役割を果たして
いるのでしょうか。

一般的にはATオイルとも言われますが、同じ油でもエンジンオイル
などとは使われる目的が違います。

エンジンオイルなどの「オイル」が、金属の摩擦の軽減や冷却と
いった補助的役割を果たすいわゆる「潤滑油」であるのに対して、
ATFやブレーキフルードなどの「フルード」と呼ばれる油は、
油そのものが機械を動かしているので「作動油」ということになり、
その目的が全く違うのです。

具体的には、MT車ではクラッチペダルによってエンジンの回転を
ミッションに伝達していますが、AT車ではトルクコンバーターが
ATFを媒体としてエンジンの回転をミッションに伝えており、MT車に
おけるクラッチの役割を果たしています。

またATFの油圧によって、コントロールバルブの回路を切り替えて
走行状況に合わせてギアを変えており、先に書いた役割と合わせて
クラッチペダルを踏んでシフトレバーを操作するということをATFが
代わりに担っているということになります。

「潤滑油」とは全く役割が違うと言いましたが、ギアやクラッチなどの
潤滑・冷却といった「潤滑油」の役割も果たしています。

■ATF油量の確認
エンジンオイルと同じ様にATFにもレベルゲージがあり、その油量を
確認することが出来ます。

ATFは温度によって体積が変化するのでレベルゲージは「COOL」
と「HOT」二つの目盛りがありますが、基本的には「HOT」時に
確認します。

確認の仕方はエンジンオイルとほとんど同じで、まず自動車で数km
走ってから水平な場所に停車し、エンジンをアイドリング状態に
したままでATFのレベルゲージを抜いて一度拭き取ってから再度
差し込んでレベルゲージに付いたATFを確認し、「HOT」の位置まで
ATFが付いていれば油量は問題ありません。

この時に油量が少ないとクラッチが滑る可能性があり、逆に
多すぎると泡が発生してエアが混入したり潤滑不足や油圧の
不具合などを引き起こします。

ATFの油量を確認する時に注意しなければならないのは、
レベルゲージを拭き取る時に布の繊維や髪の毛が付着しないように
してください。

布の繊維や髪の毛の混入によってATに不具合が起こることも
あるので、レベルゲージを拭く時には毛羽立たないキレイなものを
使うようにしましょう。

また最近ではATFのレベルゲージが付いていない自動車も増えて
きていますので、付いていない場合には整備工場やディーラー
などで確認してもらってください。

■ATFは交換しない方が良い?
ATF交換後にトラブルが発生するケースが多くあり、通説として
ATFを一度も交換せずに5万km以上走った場合にはATFを交換
しない方が良いと言われています。

整備工場ごと、もっと言えば整備士ごとに意見の違いはあるよう
ですが、やはりATFがキレイに超したことはないようです。

ただしATFの交換には十分な注意が必要で、ATを熟知している
整備士に作業してもらわなければいけません。

ATFを交換する時にはATF全自動交換機が使われるのですが、
この交換機を使うと新しいATFを注入した時にオイルパンに
溜まっていたゴミや鉄粉などが撹拌されて浮遊し、バルブに詰まって
しまうことがあり、そうするとギアが入らなくなるなどの不具合が
起こります。

また先に書いたように最近の自動車にはATFのレベルゲージが
付いていないものもあってATFの交換や補充も難しくなっていたり、メーカーや年式、ミッションの型式などによって適合するATFの種類に違いがあるなどATの知識を十分に持った整備士でないと
安心して任せられないのです。

ATFの交換が故障の原因となってしまうこともあるので、ATFを
交換する際には整備士と十分に話し合い、慎重に行うようにして
ください。

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