■廃車によって戻ってくるお金
自動車を所有していると様々な税金や保険料がかかってきます。
毎年かかってくる自動車税や車検の度に必要となる自動車重量税・自賠責保険などが
あります。
これらの税金や保険料は自動車を廃車処分することによって還付されることがあるのです。
しかし廃車の手続きをすれば自動的に返ってくるものではなく、別で還付金の請求をする
必要があるものもあります。
廃車時に一緒に請求していないと還付されなかったりするので、忘れずに手続きする
ようにしましょう。
■自動車税の還付
自動車税は毎年4月1日の時点で自動車を所有していると発生する税金で、排気量に
よって税額が異なり、翌年3月までの一年分を基本的に一括で納めることになります。
(県税事務所などに申し出ることによって分納が認められることもあります。)
自動車税の還付は、多くの場合、特別な手続きが必要ありません。
陸運支局において抹消登録をした時点で、自動的に還付の手続きを行ってくれるという
便利なシステムになっています。
抹消登録後2~3ヶ月すると自治体から「支払い通知書」が送られてきますので、それを
指定金融機関の窓口に提示することで還付金を受け取ることが出来ます。
自動車税を口座振替によって納めている場合や事前に管轄の事務所へ
「口座振込依頼書」を提出している場合には口座に直接還付金が振り込まれます。
ただし、「口座振込依頼書」を提出する際には抹消登録後1週間ほどを目安に早く手続き
するようにしておきましょう。
還付金は抹消登録をした翌月分から翌3月分までの計算となります。
例えば2500ccの乗用車を8月に廃車したとすると、自動車税の年額が45,000円で
還付金は22,500円となります。(金額は参考です。)
廃車した翌月分からの計算となるので、3月に廃車手続きをした場合には還付金は
発生しません。
また、軽自動車に関しては廃車手続きをしても還付金が発生しないので注意してください。
■自動車重量税の還付
自動車重量税は車両の重量(貨物車両は総重量)に対して発生する税金で、
新車購入時や車検時に次回の車検満了までの期間分を納めることになります。
自動車税の時とは違い、自動車重量税の還付には条件があり別に手続きをする必要が
あります。
自動車重量税の還付は車体が解体(スクラップ)されていることが前提となります。
よって、一時的なナンバープレートの返納や自動車の売却では還付は受けられません。
さらに自動車重量税の還付手続きは永久抹消登録や解体届出などの手続きと同時に
することが定められています。
まず永久抹消登録や解体届出などの手続きをして、その後しばらくして自動車重量税の
還付を申請するということは出来ないので注意してください。
さらに注意しなければならないのは、自動車重量税は最終所有者に還付されるということ
です。
自動車ローンを利用して購入すると所有者が販売店やクレジット会社になっていることが
多く、そのままでは自動車重量税の還付を受けることが出来ません。
また所有者が自分になっていても、住所や氏名が現在のものに変更されていない場合も
還付金を受け取ることが出来ないこともあるので気を付けてください。
還付金の受け取りは、自動車税の時と同様に、口座に振り込んでもらうことも指定
金融機関の窓口で受け取ることも出来ます。
これも自動車税の時と同じで、車検までの残存期間が1ヶ月未満の場合は還付が発生
しません。
また自動車重量税は軽自動車であっても還付を受けることが出来ますので、忘れずに
手続きをしておきしましょう。
■自賠責保険の返戻金
自賠責保険は、正式には「自動車損害賠償責任保険」という名称で、自動車損害賠償
保障法によって、公道を走る自動車の所有者には強制加入の義務が課せられた
損害保険です。
強制加入義務があると言っても保険であるので、自動車税や自動車重量税の時と違い、
それぞれ加入している保険会社に請求する必要があります。
自賠責保険は、公道を走る場合に加入しなければならない保険なので、自動車が公道を
走れない状態になった場合にのみ解約が出来て、返戻金を受け取れます。
要するにナンバープレートを返納(一時抹消登録)したり、車両を解体(永久抹消登録・
解体届出)をしなければ解約出来ないということです。
ちなみに譲渡による名義変更では解約出来ません。(一時抹消登録してから名義変更
する場合には、抹消登録をした時点で解約出来ます。)
税金の還付の時とは違い、民間の保険会社に解約・返戻金の請求をするので、手続きの
際にはその自動車が抹消登録されていることを証明する書類が必要になります。
具体的には「登録識別情報等通知書(旧・一時抹消登録証明書)」、「登録事項証明書」、
「解約事由証明書」のうちのいずれかを一通ということになります。
「登録事項証明書」と「解約事由証明書」に関しては陸運支局等で手続きをしないと取得
出来ないので注意してください。
軽自動車の場合は、軽自動車検査協会において前記三種類の書類に該当するものを
取得することになります。
なお、自賠責保険も残りの保険期間が1ヶ月未満の場合は返戻されません。
■理不尽だと思っても・・・
以上のように還付金や返戻金を受け取るためには、ちゃんと手続きをしなければ
なりません。
取るときには問答無用で払わされ、返すときにはきちんと書類を揃えて請求しなければ
戻ってこない。
何とも理不尽な話に思えますが、必要の無い税金や保険料を自治体や保険会社に
くれてやることもないので、ちゃんと請求してきっちり返してもらいましょう。